ボルダリングの指の痛み、カチ持ちパキリを中野・新井で根本改善
2026年06月17日
【執筆者/スポルト鍼灸整骨院 中野店院長 大石泰範(柔道整復師:厚生労働大臣認可国家資格)】
【専門家による医学的見直し日/2026年7月30日】
テーピングぐるぐる巻きの限界を感じている方へ。クライマーの『指の痛み』改善Q&A
Q1. カチ持ちをした時に指からパキッと音がして痛いのですが、これは何が起きているのでしょうか?
A1. 指の腱を押さえている「滑車(プーリー)」というトンネル状の組織が、限界を超えた力で傷ついた状態です。
カチ持ちのような特殊な指の曲げ方をすると、腱が滑車を無理やり押し上げようとする強い力が働きます。その張力に耐えきれずに組織が裂けたり切れたりした時の音が、あの「パキッ」という破裂音の正体です。
Q2. 病院で「しばらく登るのを休んで」と言われ痛みが引いたのに、壁に戻るとまた痛むのはなぜですか?
A2. 痛みが消えても、指に負担をかける「身体の使い方のエラー(代償動作)」が直っていないからです。
日頃の疲労等で肩甲骨や背中が硬いと、腕や指先の力だけで体を無理に引き上げようとしてしまいます。この根本原因を放置したまま壁に復帰しても、再び指という極小のパーツに限界を超える負荷が集中してしまうのです。
Q3. 再発が怖くてテーピングでぐるぐる巻きにしていますが、カチを持つと嫌な違和感があります。
A3. 長期間休んだり固定したりしたことで、指や腕の組織がガチガチに癒着してしまっているサインです。
組織が修復される過程でできる硬い「かさぶた」のような組織や、前腕の筋膜の癒着があると、腱がスムーズに滑りません。テーピングで外側から固めても、この内部の癒着による摩擦やツッパリ感は消えないのです。
Q4. 指が痛くて悩んでいるのに、どうして背中や肩甲骨の施術をする必要があるのでしょうか?
A4. 指先の負担を減らすためには、背中や肩甲骨の大きな筋肉を使って体を「引き付ける力」を取り戻す必要があるからです。
本来、指は壁に引っ掛ける「フック」にすぎません。サボって固まった背中や肩甲骨の動きを正常化し、全身を連動させて登れる土台を作り直すことで、初めて指先への異常なストレスを断ち切れます。
Q5. この専門ケアを受けることで、以前のようにカチをフルパワーで保持して登れるようになりますか?
A5. はい、指の柔軟性を取り戻し、全身の連動性を高めることで、以前よりも力強い登攀力(とうはんりょく)の獲得を目指せます。
当院では国家資格保持者が鍼灸施術で過度な緊張をやわらげ、筋膜へのアプローチで動きの滑らかさを引き出し、肩甲骨周りのバランスを整えていきます。「痛みをかばう」状態からの脱却を目指し、自己最高グレードの更新を全力でサポートします。

なぜ、カチを保持した瞬間に指から「パキッ」と嫌な音が鳴り、安静にしても以前のグレードに戻れないのでしょうか?
指先の組織損傷という「結果」だけでなく、肩甲骨から前腕までの運動連鎖が崩れ、指に限界を超える負荷が集中し続けているからです。
中野エリアのジムで自己最高グレードの更新に向けて壁と向き合っているクライマーの皆様。核心の一手、極小のクリンプをフルパワーで保持し、体を持ち上げようとしたその瞬間、指の付け根から「パキッ」という破裂音(ポップ音)と共に、力が入らなくなった経験はないでしょうか。
通称「パキリ」と呼ばれるこの痛みは、中級者以上のクライマーにとって最も恐れられ、そして心を折られる怪我の一つです。指の痛みに悩み、整形外科でレントゲンを撮っても、「骨に異常はありませんね。指の腱鞘炎、あるいは靭帯の損傷でしょう。しばらくクライミングは休んで、テーピングで固定して様子を見てください」と診断されることがほとんどです。
当院にご相談に来られるクライマーの方々からは、「1ヶ月休んで痛みが引いたので壁に復帰したら、スローパーは持てるのに、少しでもカチを持つとまた痛みが走る」「テーピングでぐるぐる巻きにしないと怖くて力が入らず、パフォーマンスがガタ落ちしている」という切実な声をお聞きします。
国家資格保持者(柔道整復師・鍼灸師)として、また数多くのスポーツ障害のメカニズムを紐解いてきた専門家の視点から申し上げます。
パキリは単なる「指の使いすぎ」や「運の悪さ」ではありません。あなたの身体の連動性が失われ、指先という末端のパーツに、解剖学的な限界を超える負担を強いてしまった「結果」なのです。
クライマーを絶望させる「パキリ」の解剖学的メカニズム
なぜ、カチ持ちという特定の持ち方で、指の組織が破壊されるのか。まずは、痛みの発生源で何が起きているのかを生理学・解剖学的に解説します。
人間の指を曲げる強力な筋肉群(浅指屈筋と深指屈筋)は前腕に存在し、そこからワイヤーのような長い「腱」となって指先まで伸びています。この腱が骨から浮き上がらないように、トンネルのように押さえつけているバンド状の組織が「靭帯性腱鞘(滑車:プーリー)」です。特に指の根元にある「A2滑車」と、第2関節付近の「A4滑車」は、クライミングにおいて極めて重要な役割を担います。
カチ持ちをする際、指の第1関節(DIP関節)を反らせ、第2関節(PIP関節)を鋭角に曲げた状態で、全身の体重と引き付ける力を支えます。この特殊な関節角度では、曲がった腱が滑車を外側へと猛烈な力で押し上げようとする「弓弦(ゆみづる)現象」が発生します。限界を超えた張力に滑車が耐えきれず、部分断裂あるいは完全断裂を起こした瞬間に鳴るのが、あの「パキッ」という音の正体なのです。
指先の限界は「肩甲骨」と「前腕」の機能低下から始まる
しかし、ここで視点を広げて深く考えていただきたいのは、「なぜ滑車が破壊されるほどの強大な力が、指先だけに集中してしまったのか」ということです。
優れたクライマーは、指先の保持力だけで登っているわけではありません。足の踏み込みから骨盤、背中の広背筋、そして肩甲骨周りの筋肉へと力を連動させ、最終的にその無駄のない出力を指先へと伝達しています。これを運動学では「キネティックチェーン(運動連鎖)」と呼びます。
日々のトレーニングによる疲労の蓄積や、デスクワーク等による日常的な姿勢の崩れにより、肩甲骨の可動域が低下し、背中の筋肉がうまく使えなくなるとどうなるでしょうか。身体を壁に引き付けるための出力が体幹部で足りず、無意識のうちに前腕の筋肉を過剰に収縮させ、指の力だけで無理やりホールドを保持しようとする「代償動作」が発生します。
さらに、前腕の筋膜が疲労により癒着してガチガチに硬くなっていると、腱の滑りが極端に悪くなり、滑車にかかる摩擦と引き剥がす圧力は倍増します。つまり「パキリ」は、指先だけの問題ではなく、肩甲骨から前腕に至る運動連鎖の欠如が引き起こした、構造的な機能不全の結果と言えます。
ただ「休む」という対症療法では、登攀力は取り戻せない
このバイオメカニクスの理屈をご理解いただければ、なぜ「痛みが引くまで安静にするだけ」「テーピングを巻くだけ」では、再発の恐怖から逃れられず、元のグレードを登れるようにならないのかがお分かりいただけると思います。
確かに、クライミングを休めば損傷した滑車は修復過程に入り、炎症による痛みは徐々に引いていきます。しかし、組織が修復される過程で「瘢痕(はんこん)」と呼ばれる硬く柔軟性のない組織が形成され、周囲の腱や筋膜と癒着を引き起こすケースが多々あります。癒着したままでは指の滑らかな動きは失われ、カチを持った瞬間に再びツッパリ感や痛みを引き起こす原因となります。
何より、痛みの根本原因である「肩甲骨の可動域制限」や「前腕の過緊張」といった運動連鎖のエラーを放置したままでは、壁に戻った途端、再び指先の滑車にすべての負荷を押し付ける悪いフォームを繰り返すことになります。
指の損傷という局所的な状態をただ見守るのではなく、全身のバイオメカニクスを見直し、連動性を回復させなければ、症状の根本的な改善と自己グレードの更新は目指せません。

カチ持ちの恐怖を払拭し、再び自己最高グレードへ挑むために必要な「根本的なアプローチ」とは何でしょうか?
損傷した指先の組織修復を促す局所ケアと、肩甲骨・前腕の筋膜を解放して「全身の運動連鎖」を再構築することです。
指の痛みを庇いながら恐る恐る壁に取り付き、核心の一手で力を出し切れないもどかしさは、自己グレード更新を目指すクライマーにとって最も辛い時間です。しかし、指先の限界を知らせるそのサインは、身体の使い方を根本から見直し、さらに強いクライマーへと進化するための重要なターニングポイントでもあります。
国家資格保持者が提供する当院のケアは、単なる患部のアイシングや電気療法ではありません。解剖学と運動学(バイオメカニクス)に基づき、パキリ(滑車損傷)からの早期復帰と、怪我に強い身体作りをサポートする「独自の根本アプローチ」を提供しています。
クライマーのための「局所×全身」三位一体アプローチ
強傾斜の極小ホールドを無駄なく保持し、身体をスムーズに引き上げるためには、以下の3つの要素を同時に改善していく必要があります。
1.鍼灸施術による「組織の回復サポートと柔軟性の維持」
まずは、負担のかかった指の滑車周辺や、過緊張を起こしている前腕の深層筋に対し、鍼灸を用いて的確にアプローチします。患部周辺の血流を促すことで、人間が本来持つ回復する力をサポートします。同時に、長期安静によって硬くなりがちな組織を柔軟な状態へと導き、カチを持った際の嫌なツッパリ感や違和感を内側から和らげていきます。
2.筋膜リリースによる「滑らかな動きのサポート」
前腕の筋肉(屈筋群)の硬くこわばった筋膜を、手技を用いて丁寧にリリースします。筋肉と腱がスムーズにスライドできる環境を整えることで、指の関節を鋭角に曲げた際に生じる「弓弦現象(滑車への過剰な負荷)」を物理的に緩和させることを目指します。
3.肩甲骨・胸椎の機能改善による「運動連鎖の最適化」
そして重要なのが、指先への依存度を下げるための土台作りです。固まった胸椎(背骨)と肩甲骨の可動域を広げ、広背筋などの背中の筋肉でしっかりと「ロックオフ」ができるバランスへと身体を整えます。これにより、指先はフックの役割に集中しやすくなり、過剰な負荷が末端に集中する悪循環を防ぐことにつながります。
痛みの先にある、かつてない「登攀力」の向上へ
当院では、中野エリアのクライマーの方々へ向けた専門的なコンディショニングを提供しております。カチを保持する際の指への負担を軽減する身体の使い方や、背中を連動させたダイナミックなムーブを引き出すためのケアを通じて、皆様が目標とするグレードへ挑戦できるようサポートしております。
ただ「不調が和らぐのを待つ」という対処にとどまらず、身体のポテンシャルを引き出し、パフォーマンス向上というプラスの未来を目指していただくこと。それこそが、私たちの目指す本当のゴールです。
ボルダリングジムで汗を流し、指の違和感などに悩む中野駅周辺の皆様。テーピングでしのいだり、不調をかばいながら登る日々に区切りをつけ、私たちと一緒に「怪我を予防できる、しなやかで力強い身体」を作りませんか?
まずは当院のWEB予約、またはお電話にて、現在の指やお身体の状態を詳しくお聞かせください。
「指の曲げ伸ばしを支える滑車(プーリー=靱帯性腱鞘)に無理な牽引力がかかり続けることで、組織に微小な炎症が起きてしまいます。 ※指の靱帯性腱鞘の解剖学的な構造や、摩擦によって起こる炎症のメカニズムについては、日本整形外科学会「ばね指(弾発指)」の解説ページも併せてご参照ください。」

当院の臨床レポート【30代男性クライマー】
■ 患者様プロフィール
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患者様:30代男性
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スポーツ歴:クライマー歴3年(週2回程度、ボルダリングジムに通う)
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主訴歴:右薬指の付け根の痛み(指の靭帯性腱鞘炎)
■ 問診内容
2週間前、ボルダリングで細かいホールドを保持した際、右薬指の付け根(屈筋腱・腱鞘周辺)から『パキッ』と音が鳴り発症。現在は、ペットボトルのキャップをひねる動作でも、腱の緊張と牽引に伴う鋭い痛みが走る状態。
■ 動作確認と評価
触診にて、右薬指の腱鞘(A2プーリー付近)に強い圧痛と熱感を確認。さらに当院独自の動作分析で背面の運動連鎖(キネティックチェーン)を評価したところ、肩甲骨が外側に開いたまま動きが制限されている状態と、前腕屈筋群の過緊張がみられた。
本来、壁の中で身体を引き上げる際は、背中の大きな筋肉と肩甲骨の滑らかな動きを使う必要があります。しかし今回のケースでは、低下した肩甲骨の可動性を「前腕から指先にかかる力」に過剰に依存して代償動作のクセがついていたと考えられます。
※スポーツ時の身体の使い方や、患部へ負担がかかる要因には個人差があるため、お一人おひとりの特性に合わせた段階的な評価が必要です。
■ 当院でのオーダーメイド施術
患部の炎症を落ち着かせるための処置と並行し、指に負担を強いている全身の構造的エラーを再構築する施術を行いました。
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前腕の施術:パンパンに張って癒着を起こしていた前腕の筋膜をリリース。指の腱を引っ張っていた原因を解除しました。
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肩甲骨・胸椎の骨格調整:ロックされていた肩甲骨と胸椎の連動性を正常化。「指先ではなく、背中全体を使って引く」ための土台となるアライメントを再構築しました。
■ 経過および施術後の変化
週2回のペースで施術を開始。4回目の状態評価を行う頃には、日常生活での「ペットボトルを開ける時の痛み」が徐々に和らいでいきました。段階的にジムでの低負荷なリハビリを再開していただきながら、約1ヶ月半(計8回)のアプローチを経て、大きめのホールドを違和感なく保持できる状態へと改善。
「以前よりも登りの感覚自体が良くなりました」と、単なる局所の負担軽減だけでなく、全身の連動性が整ったことによる動作の変化も実感していただきました。
※改善までの施術回数や期間、スポーツ復帰のペースには個人差があります。状態に合わせた段階的な評価が大切です。
【この記事の執筆者】スポルト鍼灸整骨院 中野店 院長

大石 泰範(おおいし やすのり)
保有資格:厚生労働大臣認可/柔道整復師(国家資格)
臨床経験:26年(延べ8万人以上の施術実績)
得意な施術:「スポーツ外傷・障害」、「ストレートネック」「首・肩の痛み」、またそれらに伴う頭痛への施術を得意としています。
ご挨拶:地域の皆様の痛みに寄り添い、根本改善を目指す施術を行っています。どこに行っても良くならなかったお身体の不調、ぜひ一度ご相談ください。
《※本記事はスポルト鍼灸整骨院総院長 / 川田英雄(厚生労働大臣認可 : 柔道整復師)が監修しています。》

















